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プレゼン研究室 月別アーカイブ: 【7月 2010】

「身ぶり手ぶりを交えながら訴え」てはいけない?

 日本振興銀行の前会長・木村剛氏ら幹部5人が逮捕された。金融庁の立ち入り検査にあたって、幹部のメールを削除するよう指示したとする検査忌避容疑だそうである。
木村剛氏については、金融コンサルのころのイメージしか僕にはないが、押しの強そうな、テラテラ脂ぎった印象だった。

逮捕された翌15日の朝日新聞。その人物を評した記事が気になった。
「木村容疑者はその持ち前の『突破力』で金融業会を切り開いてきた」と始まる記事は、こう締めくくられていた。「今年1月、ネットワーク企業の社員約3千人が参加した集会では『ネットワークとともに生きていくのが、みなさんの生きる道です』と身ぶり手ぶりを交えながら訴えた」。

「身ぶり手ぶりを交えながら訴えた」の部分には、「口八丁、手八丁」、「自信たっぷり」「臆面もなく」といった、氏に対する記者の嫌悪感が透けて見える。
だが、「身ぶり手ぶりを交えながら訴え」るのは、スピーチの基本技術のひとつ、ボディランゲージである。
ボディランゲージを身につけるのは、なかなか難しい。
ひじよりも高いところで、手を動かす。顔だけを相手に向けるのではなく、上体を前に倒して訴えかける。手は大きく動かしたあと、2秒その位置で止めると、動きにメリハリがつく・・・・などなど。
僕が所属しているトーストマスターズというクラブ。スピーチとコミュニケーションを学ぶNPO団体なのだが、そこでもボディランゲージは主要課題として学習する。

木村剛氏は日銀出身で、おそらく留学経験で身についたボディランゲージなのだろう。
こうした身ぶり手ぶりについての感想は、おそらく日本人の典型的な反応かもしれない。僕にも「自信たっぷりの相手には、警戒心を持つ」という傾向がある。
「自信を持った人」は歓迎し、「自信たっぷり」は警戒する。
微妙な違いだが、相手の反応は大きく異なる。

ボディランゲージ。直輸入ではなく、日本人のためのボディランゲージは、どのていどが好感をもたれるかというレベルを考える必要がありそうだ。
たとえば、アメリカのテキストによれば、手を動かさないときの位置(ホームポジション)は、だらりと下げるのが良いとされる。
しょっちゅう手を動かしながら話す欧米人には良いかもしれない。でも、日本人の場合はだらりと手を下げている時間が多くなって、ちょっと手持ち無沙汰に見える。
両手の親指をクロスさせて丹田(へその下3寸)にのせた状態をホームポジションにして、そこから手を動かすのが楽だし、相手からも好感が得やすい(イチジクの葉の位置は、気になってしかたがないので、やめてください)。

けんめいに訴えたことが、「身ぶり手ぶりを交えながら訴えた」と受け取られるのはもったい。コミュニケーションは、相手の受け取り方しだいなのだ。



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